映画『屍人荘の殺人』を楽しんだ話
📅 2022-01-01
2022年元日。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
運営しているコワーキングスペース茅場町 Co-Edoは、今年の年末年始も毎日オープンしています。
年末年始の期間中は10時〜18時なので、夜はいつもと比べ時間があり、映画でも観ようかなという話を年末にスタッフとしていました。
そのなかで、小説を読んでとても面白かった『屍人荘の殺人』の映画の話になり Amazon プライムのレビューが軒並み不評で、かつ(映画しか観てないという)スタッフも「浜辺美波がとにかくかわいいだけの映画として楽しんだ」と言っています。
原作を読んでいるので想像できたのですが、日本映画の予算感で、あの内容を表現するのはなかなか大変なことでしょう。
もしかしたら、少し B級映画 っぽくなってしまっているのかもしれません。
しかし僕は、そんな映画でも楽しめるすこし変わった体質があります。
たとえば(名前を出すと失礼になってしまう面もありますが)『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』の両作とも、「前評判が出揃ってから」映画館にいこうと決め、どちらも大いに楽しんでいます。
決して「どんな映画でも楽しめるわけではない」のですが、前評判がたとえ高くなくても、その内容によっては「僕はこれを楽しめるだろう」というのが何となく分かるのです。
(反対に、周囲のひとは絶賛していて、また実際に良作であることは間違いないのに、自分としてはあまり好きではないたぐいの映画もあります)
結論から言うと「とても楽しめた」
まあそんなこんなで逆に興味が湧いたので、数多あるウォッチリストのなかから(それも元日から)選択したのが『屍人荘の殺人』です。
結論から言うと、充分に楽しめる映画でした。
いちど観て、自分と合わないと感じたひとも、もし例のアレのインパクトが強すぎたのであれば ぜひもういちど観てほしい と思います。
そういう映画 だと思ってみれば、きっと楽しめるのではないかと思います。
未見のひとも鑑賞済みのひとも楽しめるブログ記事です(ネタバレ・スイッチでネタバレの有無を切り替えられます)
はい、この映画は重大なネタバレが存在します。
叙述トリックというわけではないので、ネタバレがあること自体は既知の情報なのかと思います。
(実際にレビューでは思いっきりそのキーワードが露出しています)
が、ネタバレに配慮すると鑑賞済みのひとにとってはもどかしく、ネタバレされたくないというひとは不意にネタバレが含まれると目を背けたくなるでしょう。
そこで ネタバレ・スイッチ という機能を実装しました。
ネタバレ・スイッチ
映画を鑑賞済みの方は、つぎのスイッチをオンにしてください。
(原作の小説を読んでいるけど映画は鑑賞前という方は、映画版のネタバレOKの方のみスイッチをONにしてください)
記事中の表現が「ネタバレあり」の内容に自動的に書き換わります。
スイッチを ON にするまで ネタバレ は表示されません。
それでは、未見のひとも、鑑賞済みのひとも、安心して記事を読み進めてください。
ネタバレ・スイッチの機能について詳しく知りたい方へ
ネタバレ・スイッチは VuePress v2 のプラグインとして公開しています。
https://www.npmjs.com/package/vuepress-plugin-netabare-switch
Zenn にプラグイン作成についての記事も書いていますので、詳しく知りたい方はぜひお読みください。
https://zenn.dev/coedo/articles/vuepress-plugin-netabare-switch
◯◯◯ 映画
ミステリー +「本格派ミステリー」という言い方があります。
詳しい定義はわかりませんが、純粋に謎解きを楽しむ物語が本格派と言われている気がします。
では本格派ではないミステリーはなんでしょうか。
謎解き要素もあるけど、その解決以外の要素も含めて物語が成立している場合というのは、本格派ではないのかもしれません。
たとえば、(といって間違っていたら失礼な話でしょうけど)『名探偵コナン』などは主人公の超常的な推理能力のみならず、現実離れしたアイテムなどを使った犯人側との対決といった要素が、本格派と呼ぶには推理以外の要素が多くを占めていると思います。
(念のため付け加えると、決して本格派が上で非本格派が下という話ではもちろんありません)
解決までに提示される推理の材料だけで(主人公と同様の)推理が可能なことはもちろんのこと、特殊な環境下の物語というのは本格派ミステリーからは遠ざかってしまいます。
しかし、特殊な環境下であっても、本格派ミステリーといっても差し支えないものもあるでしょう。
一例が『虚構推理』でしょうか。
妖怪や亡霊といったおよそ常識的ではないものが普通に存在する世界で、作中の現実世界の人々が納得する推理を構築し、怪異の世界も現実世界もどちらの秩序も保っていく話。
物語を成立させる特異な要素を除くと、それ以外の点ではまっとうなミステリーであるがゆえ、本格派といっても差し支えないのかもしれません。
そういう意味ではこの『屍人荘の殺人』
殺人事件が起こる環境こそ普通ではなくとも、それ以外の要素では、至極まっとうな、本格派のミステリーだと思います。
◯◯◯のインパクトが大きすぎる
とはいえ原作を読まずに映画を観たひとは、まあ驚いたでしょう。
インパクトが強すぎて、それが物語を楽しめないものにしてしまったのだとしたら、それは確かに悲しいことです。
いっぽうで間違いなく、原作を読んでいるひとは、それほどのインパクトを覚えることはありません。
展開がわかっているがゆえ、「さてこのあとどうなるのだろう」というワクワクのほうが勝つことでしょう。
というわけで、一回観てそれっきりというひとは、ぜひもういちど観てほしいなと思います。
ミステリーとして映画も等しく楽しめる
ではミステリーとして楽しむとして、原作を読んでいるひとはどうか。
僕自身はすでに読んでから数年経っているので、物語のディテールどころか、どんなトリックで誰が犯人だったかも 完全に忘れていた こともあるのですが、おそらく原作を直前に読んだひとでも楽しめたのではないかと思いました。
原作とは微妙に違うシーンも各所にあり、それぞれがとてもうまく散りばめられていると感じました。
映画であるがゆえの演出や時間的な制約も含め、充分に楽しめる内容なのかとは思います。
「酷評する人がいる」のは、現時点では、ある意味邦画の宿命なのかもしれません。
それでも気になる、というひとであれば、ぜひ観てほしいと思っています。
どの役者もそれぞれ適役だなと思うほどには、物語の世界観やストーリー展開が秀逸です。
肩の力を抜いて楽しもう
何人かで一緒に観るとより楽しめる映画かなと思います。
いちど観ただけというひとも、ぜひ2度楽しめる作品だと思いますので、初回の感想に関わらずぜひどうぞ。